川は、生活や農業、工業など、私たちの様々な活動で使う水の取水元であり、使った水の排出(はいしゅつ)先でもあります。人口や産業の集積した利根川(とねがわ)の流域では、利根川の水を流域全体で何度も繰(く)り返し利用しています。
遠く離(はな)れた群馬県と東京都ですが、私たちは利根川の水を仲立ちとして結ばれています。
矢木沢ダムと奥利根湖
(水資源機構)
群馬県などの利根川上流地域に造られている数多くのダムと、それを取り囲む森林には、河川の流量(りゅうりょう)を調節(ちょうせつ)して災害(さいがい)を防ぎ(治水)、私たちの生活に欠かせない水を確保(かくほ)する(貯水(ちょすい))などの役割(やくわり)があります。
ダムと森林、このどちらが欠けてもこれらの役割を十分に果たすことができません。上流のダムや森林は、毎日、下流の人々の生活を守っています。
東京都の水道水は、ほとんどが利根川、荒川(あらかわ)、多摩川(たまがわ)から取水した水を使っています。その中でも、利根川と荒川の水を多く使っており、東京都全体で使う水の約8割を占(し)めています。
利根川と荒川は武蔵水路(むさしすいろ)でつながっていて、利根川の水は、武蔵水路と荒川を通って東京まで運ばれます。
利根大堰と武蔵水路
(水資源機構)
利根川上流のダムで貯留(ちょりゅう)された水の多くは利根川を下り、群馬県と埼玉県境(けんざかい)にある利根大堰で取水され、延長14.5kmの武蔵水路によって荒川中流部に導水(どうすい)されます。その後、荒川を下り秋ヶ瀬取水堰(あきがせしゅすいぜき)で取水され、浄水場(じょうすいじょう)に送られます。昭和43年に完成したこれらの施設により、東京都は利根川の水を利用できるようになりました。
利根大堰と武蔵水路は、群馬県と東京都を結ぶ施設といえます。